長い歴史や多彩な味わいが魅力の球磨焼酎
若い人たちにも楽しんでほしい!
サークルTorico
代表:古澤 龍さん(法学部3年)、尾﨑 太透さん(工学部4年)
インタビュアーの健児くんです。よろしくお願いします。
熊本大学の様々なサークルの中で、人吉・球磨地方の特産物である「球磨焼酎」のPRを活動目的にする、ちょっと異色な存在がToricoです。今回登場してくれるのは、代表の古澤龍さん(写真左)と尾﨑太透さん(同右)。Toricoの活動は地域貢献になるだけでなく、メンバーの皆さん自身もとても楽しんでいるようですよ!
古澤さん:私たちは、人吉・球磨の特産品である球磨焼酎の魅力を広めることを目的にしたサークルです。自分たちが学生ということもあり、特に若い人に球磨焼酎の良さを知ってもらいたいと考えています。
メインの活動は、熊本市の繁華街にある「69spirits(ロックスピリッツ)」というバーで月に1度実施する、球磨焼酎をベースにしたToricoオリジナルのカクテル販売です。その日は、お店を私たちが借りる形で、サークルのメンバーがスタッフとなり、カクテルを作ることはもちろん、接客も行います。お店の常連さん、マスターの友だちや知り合いの方のほか、私たちも周囲に呼び掛けるので、熊大生も来てくれます。
どんなカクテルにするかは、その前の週の週末にメンバーが集まり試飲会をして決定。基本は海外のカクテルのレシピを参考にして、ベースを球磨焼酎に変えて味見をしながら決めます。
そのほか、熊本駅前広場などで行われるイベントに参加することもあるんです。そういった不定期のイベント参加は、球磨焼酎酒造組合や各自治体などからに声をかけてもらっています。
古澤さん:いろいろありますが、2つ紹介しますね。ひとつは「球磨川ブルー」。球磨焼酎に、ブルー・キュラソー、柑橘類やパイナップルのジュースを加えた、さっぱりとしたおいしさが特徴です。もうひとつは「ウメレットサワー」。これは、球磨焼酎の蔵元の一つである高橋酒造が作っている「ウメポン」という梅酒に、杏仁で作られるアマレットを加えてソーダで割ったもの。ウメポンは、国産梅とデコポンのストレート果汁を使って作られています。甘酸っぱさと香りの良さが好評でした。
尾﨑さん:球磨焼酎は、国産米と人吉・球磨の水を使って作り、人吉・球磨で蒸留され、瓶詰めされることが定義となっています。
米を原料としているのでクセがなく、食事にも合うことが魅力のひとつ。それから、球磨焼酎は全部で27の蔵元がそれぞれこだわりの焼酎を作っていて、作り方も、常圧、減圧、樽熟成に大きく分類されて、それぞれ違った味や香りの魅力があります。ブランドも200種を超えるんです。蔵元それぞれの特徴を知ったり、自分の好みの蔵元やブランドを探したりするのも楽しいですよ。
また、球磨焼酎の、500年という歴史の長さも魅力だと思います。山に囲まれた人吉・球磨地方は、昔はあまり人の行き来もなく、隠し田という、税として取られないお米を育てる田んぼもあったそうです。お米を原料にお酒を造ることができるほど、豊かな土地だったということ。そういう球磨焼酎ならではの歴史も興味深いと思います。
古澤さん:きっかけは、2020年度、当時の熊大生4人が、特許庁が開催していた「地域ブランド総選挙」に出場するために始めた活動です。「地域ブランド総選挙」は、地元の学生が地域ブランド商品やサービスの魅力をSNS上で発信し、かつ、その後の商品展開やPRの方法などを考えて競うコンテストでした。4人はテーマのひとつに球磨焼酎を選び、「焼酎に夢中」というチーム名で出場し「優秀発掘賞」を受賞しました。
この受賞のあと、2021年に「球磨焼酎ブランド振興」をテーマにした授業が1年間実施され、学生たちは授業の中で、球磨焼酎の販促や広報、人吉・球磨の観光などについて企画や提案を行いました。その授業が終わった時、この活動を継続すべく生まれたのがこのサークルToricoです。
古澤さん:カクテルを販売する時に、お客さんと話せるのが楽しいですね。それから、最初は焼酎に苦手意識があった人が、私たちが作ったカクテルを通して球磨焼酎を好きになっていってくれる。その過程を見ることも楽しいなと思います。
尾﨑さん:自分たち自身もまだ、27の蔵元と200を超えるブランドの全部を知らないから、いろんな球磨焼酎と出会うことも楽しみの一つです。それに、自分たちが考えたカクテルを、お客さんがおいしいと言ってくれると嬉しいです。それに、お客さんと進路について話をさせてもらったりして、会話が盛り上がると楽しいですよ。
ただ、メンバーが今、3年生と4年生中心で、1、2年生が少ないことが悩みでもあります。私たちのサークルでは、20歳未満の学生も参加可能ではあるのですが、もちろん飲酒はできませんので、試飲会等でお客さんとの会話を楽しんでもらうことが活動になります。それでも、新入生勧誘時も大々的にPRしづらくて。基本的にXとInstagramだけで情報発信しており、メンバー集めに苦労しています。
尾﨑さん:私たちは熊本大学の非公認サークルなので、予算はつかないんです。だから、月一度のロックスピリッツでのカクテル販売やイベント参加で、材料代や場所代を払って残った売り上げを活動費にしています。赤字ではないのでお金で苦労しているわけではないのですが、月に1度メンバーがお店に出る時のバイト代くらいは出せるようになると、もっと活動が活発になっておもしろくなるんじゃないかなと思っています。
それから、呼んでもらって参加するイベントのほかに、自分たち自身で、人が集まるような場所でイベントを企画・実施して、Toricoの活動や球磨焼酎をもっと多くの人に伝えたいですね。
古澤さん:私は、メンバーを増やして活動回数を増やすことが目標です。それから、活動を通して他大学ともつながりたいなと思っています。今はイベントをPRできるのが熊大生ばかりなので、他大学と連携して、もっと多くの若い人に球磨焼酎の良さを発信したいです。例えば鹿児島の大学には、芋焼酎の魅力を伝えることを目的にしたサークルもあると聞いたので、そういうサークルと連携できたらおもしろいなと考えています。
古澤さん:お酒が飲めるのは20歳からですが、Toricoは20歳未満でも入会可能です。バーでカクテル販売をする時は、カクテルを運んでもらったり、接客を担当してもらったりしています。大学外の方々といろいろな話ができる良い機会になりますので、興味がある人はぜひ入会してほしいと思います!
尾﨑さん:実は私は、球磨郡の出身なんです。Toricoに入会したきっかけは現メンバーである友だちに誘われたことですが、同時に、地元が誇る特産品に携わるいいチャンスだと思って活動を始めました。活動の中で球磨焼酎のすばらしさをより実感して、今まで続けてきています。
人吉・球磨地方は2020年の豪雨災害の地でもあります。Toricoで復興を前面に押し出したような活動はしていませんが、それでも、球磨焼酎のPRが間接的な支援になればと思って頑張っています。一緒に活動してくれる人を待っています!
写真)11月15日に熊本市内で開催される「ぺちゃくちゃナイト」に登壇するため、その練習時の写真。 左から 工学部4年 尾﨑太透(おざきたすく) 法学部3年 古澤龍(ふるさわりゅう)現代表 法学部4年 福井康一郎(ふくいこういちろう)前年度代表 文学部4年 坂井美月(さかいみづき) |