日本は、狭い国土の中に100 個ほどの活火山がある世界有数の火山国で、毎年どこかで火山が噴火しています。私が専門とする火山学の最終目標は、いつ、どこで、どんな噴火が起こるかを予測できるようにすること。しかし、現時点では高精度の噴火予測は難しい状況にあります。
ただ、いつ噴火するということはいえなくても、その活火山はどんな特徴を持っていて、過去にどんな頻度で、どんな噴火をしていて、それがどれくらい続いたかなどの情報は、過去の噴火から読みとることができます。それを詳細に調べ解析しておけば、その火山が将来いつごろ噴火する可能性があるのか、または噴火の可能性はないのか、噴火するとしたらどれくらいの範囲が危険なのかなどを予測することが可能になる。そう考えて研究を進めています。
具体的な方法の一つが地質調査です。私はおもに阿蘇火山をフィールドとしていて、自分で地面を掘ることもあれば、工事現場などで現れた地層を調べることもあります。たとえば過去に大きな噴火があったときの地層を見て、もし土の上にいきなり厚い火山灰や噴石などの地層があれば、いきなり大きな噴火が発生したと推測できます。しかし、そういった厚い噴出物の層と土の間に火山灰の層が挟まっていれば、その噴火は小規模な火山灰噴出から始まり、だんだん大きな噴火に移行していったことがわかります。そういった過去の噴火のパターンをいくつか把握しておくことで、たとえば将来阿蘇火山で大きな噴火が始まったとき、今回はパターンAでいきそうだとか、パターンBになりそうだとか、8千年前に起こったパターンCの推移をたどる可能性があるとか、そういったことがわかれば、むやみに恐れるのではなく、災害を軽減するための対策を考えることができます。そうしたことをめざして、日頃から火山灰まみれになりながら調査しています。
台風も地震も、そして火山の噴火も、自然現象は止められません。しかし、命を救い被害を小さくすることはできます。
2018年、群馬県の本白根山が噴火しました。実は当時、噴火しそうだといわれていたのは別の場所で、火山研究者は本白根山が噴火すると思っていなかった。だから観測体制も充実していませんでした。噴火後に研究者たちが本白根山の周辺を調べたら、過去に結構噴火していたことが判明。もちろん、観測体制がしっかりしていても噴火の予兆を捉えられなかったかもしれません。でも、過去に何度も噴火していることがわかっていたら被害を小さくすることができたかもしれない。私の研究は基礎研究ですが、将来的には人の命を守ることにつなげられると信じています。
火山国である日本にはもちろん、世界にも火山の噴火によってつくられたすばらしい景観がたくさんあります。しかし、そこが噴火の跡だと、どれほどの人が知って訪れているのでしょうか。景色を見に行く場所がどんな成り立ちでできたところかを知っておけば、より安全に景色を楽しめます。さらには、自分が暮らしている土地の、その成り立ちを知っておくことは、自然災害時にどんな行動をとるべきか、より良い判断につながります。そういったことを発信していくことも、私たち研究者の役割だと思っています。
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| 阿蘇火山中岳でよく見られる”灰噴火”という噴火様式(宮縁教授提供) |
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| 北海道にある屈斜路湖は日本最大のカルデラ内にできた湖(宮縁教授提供) |

