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| 2021年に完成した新阿蘇大橋 国道57号に近い橋脚2本に「ノックオフ」が取り入れられています(松村教授提供) |
橋には、川や谷にかかっている橋もあれば、高速道路や新幹線の高架もあります。人やモノが通るための機能のほかに、電気や水道、ガス、光ファイバーなど、私たちのライフラインをつなぐ役割も担っているのが橋。地震などが起こった時は緊急車両を通す必要もあり、橋は、発災直後でも使えるようにしておくことが不可欠です。ということは、多少壊れたとしても完全に崩壊しないようにすること、また、壊れても迅速に修復ができることが必要であり、そのためには、壊れ方をコントロールする、という考え方が大切になってきます。
私の研究では橋という土木構造物の損傷制御、つまり橋の壊れ方をコントロールする「ノックオフ」と呼ばれる仕組みを考えています。「ノックオフ」は、小さな揺れのうちは橋脚と、人や車が通る橋げた部分をつなぐ部分を支えますが、揺れが大きくなりある程度以上の力が加わると、あえて壊れて橋脚と橋げたのつながりを外して揺れを逃し、橋全体の崩落を防ぎます。想定より早く壊れても遅く壊れてもだめで、壊れるポイントをうまくコントロールすることが大事。熊本地震で崩落した阿蘇大橋は、新阿蘇大橋として架け替えが終了していますが、この新阿蘇大橋の国道57号側の2本の橋脚の間には断層があるため、「ノックオフ」が取り入れられています。そのほか、関西国際空港連絡橋の耐震補強にも、「ノックオフ」技術が取り入れられています。
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| ノックオフの仕組みが働いた橋げたの想定図 ある程度の揺れになると橋脚と橋げたを繋ぐ部分が壊れます。 そのため、橋脚が立つ地面の断層がずれても橋脚や橋げたは損傷せず橋の表面はつながったまま維持でき、 緊急車両などの通行が可能になります。 |
「ノックオフ」は橋の崩壊を防ぐための仕組みですが、地震に対して100%大丈夫というわけではありません。海や川の堤防も、あるから安全なのではなくて、そもそも私たちはそれらが必要とされる場所に住んでいるということ。建物も土木建造物も同じで、耐震設計されているから安心と考えるのではなく、それが必要な場所に私たちは暮らしているという認識を持ち、想定を超える地震が起きる可能性にやはり備えておくべきだと私は思います。
そういった考え方をわかりやすく伝えるのも大学の役割。私が所属する減災型社会システム部門では、一般の方々を対象に年10回ほど「サイエンスカフェ」を開催しています。「自分が暮らす土地はどうやってできたのか」、「ここになぜ橋があるのか」など、普段目にしているのに意識していないようなことを改めて学んでいただいています。「自分が暮らす土地を知る」ことの大切さを一般の方々へ発信しているのがサイエンスカフェです。
熊本は、熊本地震や豪雨災害の被害を目の前で見て、「これまでのやり方では対応できなかった」事実をリアルに受け取れる場所。大丈夫だと思ってつくっていたけれど、壊れてしまった。じゃあ、次はどう対応していくのか。そこから得られた成果は、熊本県以外の場所にも生かす、その役割を担うのが熊本大学だと考えています。
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| サイエンスカフェ 模型を使って雨や地震などの自然現象を見る実験や、熊本地震で被害を受けた阿蘇地方を歩くことも。 次の開催は、くまもと水循環・減災研究教育センターのHPをご覧ください。 |