「自分は a citizen of the world=世界市民である」という意識を持ち、グローバルコミュニティの一員として振る舞うために必要なのが「国際感覚」です。その感覚を支えるための多言語能力はもちろん、多様な価値観を尊重できる力を大学でできる限り身につけてほしい。熊本大学は、そのための留学制度をはじめ、大学内でも様々な国際交流の機会を設けています。
グローバル教育を担当する学長特別補佐で、熊本大学の国際教育を担っているシムズ・ランダー・ブライアント講師に話を伺いました。
国際感覚を支える要素のひとつは、やはり語学力だと思います。その中でも、国際共通語である英語力を高めるための取り組みの一例が、英語で様々な分野を学ぶMultidisciplinary Studiesです。各分野の内容を、英語によるアクティブラーニングで学べるため海外からの留学生にも人気が高く、多くの学生が受講しています。日本人学生にとっても、海外留学に近い環境で学ぶ貴重な機会となっています。私が担当している授業は、開始当初は15人程度の小規模なクラスでしたが、現在では約100人が受講するまで に広がりました。
大学受験のために高度な英語を学んだ大学生は、入学時点の英語力がピーク。そこから力が落ちてしまう傾向があります。そうではなく、大学でさらに英語レベルを上げることが理想であり、そのために英語を使う機会をできる限り多く提供しています。そして、大切なのは意見を持つことと、それを伝えられるコミュニケーション能力です。学生の積極性を引き出すアクティブラーニングは、外国人留学生がどんどん手を挙げる一方、日本人学生にとって最初はそれが難しい。でも、自分と同じ年齢の外国人留学生が積極的に発言する姿を見て、日本人学生もどんどん成長していきます。
課外活動も様々で、英語なら、外国人留学生と日本人学生が楽しくおしゃべりする「イングリッシュトークモン」や、外国人留学生が母国の料理を紹介する「グローバルキッチン」なども開催。言語に関しては英語以外でも、たとえば韓国からの留学生と日本人学生をペアリングし、1対1でお互いの言葉を教え合う活動なども行われています。
もちろん、可能なら海外留学もしてほしいと思います。生まれてからずっと熊本、または日本国内で暮らしてきた学生たちに、自分がまだ知らないずっと大きな世界があることを、身をもって知ってほしいと思うからです。そのため熊本大学も、様々な留学制度を準備しています。
しかし留学はお金がかかりますし、専門性の高い学部の学生にとって長期留学は難しい側面もあります。それを解決するために活用しているのがCollaborative Online International Learning、通称 COIL。海外の大学と協働で行うオンライン学習で、熊本大学では、たとえばスペインの大学で行われている授業と連携し、現地の教員や学生とともにグループワーク等を行っています。オンラインでの協働授業後、大学からの渡航費支援をうけて参加した熊大生たちをスペインに連れて行き、現地の学生と一緒に学習するプログラムも実施してきました。
外国語を話すのに、間違うのは当然。そして発音だって、私はどうでもいいと思っています。英語圏以外からの海外留学生も、それぞれの国のそれぞれの英語発音でコミュニケーションしています。英語発音が日本人発音になるのは当たり前であり、それはむ しろ自分のアイデンティティだと思ってほしい。大事なのは、伝えたい意欲です。
私が好きな言葉に、「自分の国が自分の部屋なら、言葉はその窓であり、使える言語が増えればその窓も増える。そうすれば、違う視点で物事を見ることができるようになる」というものがあります。留学は、そこにドアを作り部屋から出ていくこと。言語を 含めた国際感覚の会得は、自分の可能性を拡げることだと思っています。
このほか、熊本大学独自の海外派遣支援事業などがあります。