貴重な文化財の数々は 見てもらってこそ価値がある

 熊本大学キャンパスミュージアムは、小川久雄学長が就任した2021年、学長の「熊本大学をもっと開かれた大学に」というコンセプトのもとに構想が立ち上がりました。以来ずっとミュージアムに携わっているのが、行政職歴任後熊本大学に着任し、広報 戦略を担ってきた宮尾千加子理事です。

熊本大学 理事
熊本大学キャンパスミュージアム推進機構
副機構長
宮尾 千加子
Chikako MIYAO

多くの人に来てもらう「きっかけ」も創出

 私は行政職に就いていた頃、熊本県立美術館の館長も務めたことがあります。そんな経験から思うのは、熊本大学にあるすばらしい「宝」は、保存や研究に加え、人々に知ってもらってこそ価値がある、ということ。だからこそ、小川学長の「開かれた熊本大学に」というコンセプトには強く共感しました。これからもっと熊本大学キャンパスミュージアムの取り組みを発信し、たくさんの人に来ていただきたいと思っています。

 そのきっかけを創出するため、常設展・企画展両方の充実、他大学や外部組織との連携強化も図ります。そのほか、個展スペースとして五高記念館の部屋を貸し出したり、子どもから高齢者まで、参加したいと思ってもらえるイベントなども仕掛けていく予定。また、2026 年は夏目漱石来熊130年であり、漱石文化みらい会議くまもとや、熊本県、熊本市などとも連携し、様々な漱石関連企画も実施したいと考えています。

 そんなキャンパスミュージアムの魅力発信に力を発揮してくれているのが、学生が運営するteamCOCORO。約20 名の学生がアンバサダーとして活動してくれています。昨年バスツアーが熊本大学を訪れたときには、学生たちにマントを着て案内してほしいというオファーがあり、彼らは喜んで対応してくれました。台湾との交流も増え、学生同士の意見交換会では英語でプレゼンも。キャンパスミュージアムでの活動が、学生にとってもすばらしい経験になっていると感じています。

五高記念館の中央階段
宮尾理事のイチオシ!
自然と調和した五高記念館
明治時代の、ナンバースクールと呼ばれた8つの旧制高等学校のうち、建物が現存するのは金沢大学の四高と熊本大学の五高のみ。どちらも片側に廊下、もう片方に教室が並ぶ形なのですが、四高は廊下が北側で教室が南側。一方五高は、廊下が南側で教室は北側に配置されています。これは、熊本で南側に教室を配置してしまうと陽射しが強く教室内が暑くなりすぎるためと言われています。四高は逆で、南側の教室で部屋を暖かくしていたわけです。自然と調和した設計がすばらしいと思っています。
囚人たちの汗の結晶・赤レンガ
熊本大学に残る古い建造物で印象的なのが、赤レンガ。これらは、当時立田山の中腹にあった窯で、熊本監獄(現・熊本刑務所)の囚人たちの手によって製造されたそうです。近代的な建物を設計した頭脳集団がいた一方で、大量のレンガを焼く途方もない労働に従事した人たちもいた。いろいろな人の思いが詰まっているからこそ、熊本大学の歴史的建造物の圧倒的な美しさや堂々たる佇まいに心が震えるのではないでしょうか。

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