アントレプレナーシップ教育iHOPE
- 所属
熊本大学薬学部は、学部として独自にアントレプレナーシップ教育に力を入れています。
Innovative Healthcare-Oriented Program for Entrepreneur、通称「iHOPE」は、2017年に始まった、薬学部のアントレプレナーシップ教育プログラムです。
| 講義 | iHOPE | iHOPE NEXT |
|---|---|---|
| 対象 | 学部1年生 | 大学院生 |
| コマ数 | 計5コマ程度 | 計4コマ程度 |
| 内容 | 座学、ゲスト講演、ワークショップ、最後にプレゼンテーション | 座学、ゲスト講演、テックプランターや研究費に申請 |
| 目的 | 自分の興味を見出す、具体的な一歩を踏み出す | 自らの研究の魅力を引き出す |
iHOPEスタート時から講師を務める井上浄教授にお話を伺いました!
私が代表を務める株式会社リバネスは、大学院生が集まって立ち上げたベンチャーで、私はファウンダーの一人です。大学院生に研究費を支給したり、大学の研究成果の社会実装支援や起業の伴走支援などを事業としています。
私が初めて熊本大学薬学部でプレ講義を行ったのが2017年。私が感じている薬学におけるアントレプレナーシップの可能性を学生たちに話したいと、当時の薬学部長だった甲斐広文教授にお願いしたことがきっかけです。思いのほかいい反応が学生からあって、プロジェクトが立ち上がりました。以来ずっとiHOPEで教えています。
私自身が薬学博士で、薬剤師の免許も持っています。薬学は、化学系、生物系、医療系などに加え、薬学特有の薬理学や薬剤学、薬事や法律など多岐にわたる分野を学ぶ学問。つまり、ヘルスケアをはじめ、日常生活に関わるテクノロジー領域の専門家になれるのが薬学部出身者です。ということは、薬学部出身者は、人および人を取り巻く環境にある社会課題の解決を掲げるスタートアップの社長候補になれる。薬学部出身者が本気を出したら世界が変わる、というのが私の仮説です。
でも、薬学をしっかりと修めても、言われたことだけをやっていてはだめ。創薬だろうと薬剤師の道だろうと、医薬や薬剤師業界の課題を率先して解決できるような人材となるためにも必要なマインドがアントレプレナーシップです。自分で創造し、そこに価値があると思うんだったら失敗を恐れずにやっちゃおう、そんな人材を育てることを目的にした教育プログラムがiHOPEです。
高い志と倫理観に基づき失敗を恐れずに踏み出し、新たな価値を創造していくマインドがアントレプレナーシップ。まずは座学で、おもしろいと思うことがあるならそこから始めようと、マインドセットを叩き込みます。
そのうえで、学生たちにたくさん会わせるのが、実際のアントレプレナーたち。世界的な統計にも、アントレプレナーに会った人の中からアントレプレナーは生まれる、というデータがあるんです。大学生にはアントレプレナーに出会う機会はほぼありませんから、起業した人や企業内で新規事業を手掛けているような方を、ゲスト講師としてたくさん招いています。
自分が課題感や好奇心を持って、自分が旗を振って、自分の責任で道を切り拓く人になってほしい。どんな道に進んでも課題はあります。たとえば薬剤師なら、新しい活動で新しい仕事を増やしたり、もしくは減らしたり、こういう姿勢でやったほうがいいのではといった提案が積極的にできる人を増やしたいと思っています。
人に言われたことだけをやっておけばいい、それも選択肢ですが、やればやった分の人生は必ず待っているよと、いつも伝えています。
こんにちは! 再び、健児くんです。
ここに載せきれなかった井上教授と弘津先生のお話を、「熊大タイムズ」で紹介しています。ぜひ読んでみてくださいね!