2025年春、熊本大学黒髪南キャンパスに完成した新棟「SOIL」と「D-Square」。
9月に正式オープンし、10月から本格稼働が始まりました。
総事業費約36億円をかけて建設された2棟について、大谷順理事に伺いました。

皆が集い、コトを興す拠点 SOILとD-Square
SOILは「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」に採択され建設されました。熊本大学と企業や研究機関、他大学が集まり共同研究を行うオープンイノベーションの場です。
熊本は以前から半導体産業が盛んで、今も130社以上の半導体関連企業が集積。それら企業には大企業もあれば中小企業もあり、半導体そのものを製造しているばかりではなく、その関連産業も多岐にわたっています。SOIL建設にあたっては、熊本大学の関係者が各企業を回り必要な装置や教育についてお尋ねし、そのニーズに合わせた設備や機械をSOILに導入。熊本大学だけにしかない貴重な研究・実験装置もあり、海外からも使いに来ていただける場となっています。企業が長期入居することも、設備をスポット利用することも可能。多くの企業や研究機関が熊本大学の研究者らとともに、最先端研究から実装研究まで、様々な共同研究を進めます。
D-Squareは「高度情報専門人材の確保に向けた機能強化支援事業」に採択され建設されました。大学院自然科学教育部に新設された半導体・情報数理専攻の大学院生たちの研究の場、情報融合学環における地域・企業と連携した教育およびリカレント教育の場に活用されている、デジタルと半導体人材育成の拠点です。D-SquareはSOILとつながっており、学生たちには、すぐそばで世界最先端の半導体研究が進められていることを肌で感じ刺激としてほしいと考えています。もちろん、SOILは民間企業がかかわるため、高いセキュリティが確保されています。
半導体研究や教育に関しては、半導体そのものだけでなく、半導体とともにどんな分野の研究を発展させるかを重視しています。すそ野が広い半導体は様々な分野に応用が可能。具体的に言えば、半導体with医学・薬学、半導体with人文学などがあり、その中ではAIやデータサイエンスも重要なキーワードとなってきます。またSOILには東京大学や東北大学の分室も入居。たとえば、東北大学は量子コンピューターを扱っておられ、これは本学の医学部でも使っていて、連携することで研究がさらに発展すると期待しています。SOILとD-Squareを拠点に、半導体をドライビングフォースとしてあらゆる分野の研究および教育を広げていかなければならないと考えています。
![]() SOIL内のスーパークリーンルーム |
![]() D-Square側から見た2棟 |