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    視覚障がい児の学びを支える、工学部公認サークル「Soleil」

触れて、感じて、学ぶ未来を。
視覚障がい児の学びを支える、工学部公認サークル「Soleil」

熊本大学工学部公認サークル「Soleil」

部長 小野 恭輔さん(工学部3年)、田中 剣之介さん(工学部3年)

学生・課外活動
所属

熊本大学工学部の公認サークル「Soleil(ソレイユ)」は、視覚に障がいのある子どもたちが「触って・聞いて・理解できる」オリジナル教材を開発し、全国の盲学校へ無償で寄贈しています。学生主体のものづくりで社会課題に挑む彼らは今、さらなる教材改良のためクラウドファンディングに挑戦中。情熱あふれる学生たちの想いに迫ります。

「学ぼう!作ろう!届けよう!」現場のニーズに応えるものづくり

サークル「Soleil」では、具体的にどのような活動をしているのですか?

小野さん:
私たちは、視覚障がいのある児童生徒が、目の見える児童と同じように学べる環境を作るため、教材の企画・試作・改良・寄贈を学生主体で行っています。これまでに国の形のパーツを組み合わせるだけでなく、その国の名前を音声でも表示する「タッチマップ世界地図」など約20種類、累計500個以上の教材を全国の盲学校へ届けてきました。

部長の小野 恭輔さん

小野さん:
2023年には、科学技術で社会課題を解決する優れた取り組みとして、JSTの「STI for SDGs」アワードで「次世代賞」受賞、熊本県が主催し、県内の企業や団体・個人によるSDGs推進の優れた取り組みを表彰する「くまもとSDGsアワード2022」では「未来づくり部門」に入賞しました。


学外での高い評価が認められ、学長賞も受賞

代表的な教材である「ふれあいどうぶつしょうぎ」について教えてください。

小野さん:
子どもも遊べる将棋ゲームとして知られる「どうぶつしょうぎ」を開発した女流棋士の北尾まどかさんの協力を得て、より誰でも遊べるようにユニバーサルデザイン化した将棋です。駒の表面に進む方向を表す立体的なマークをつけてあり、手触りで種類や進む方向が判別できます。もともとは白黒でしたが、弱視の子どもたちから「色があると判別しやすい」という意見をもらい、現在はカラー版の開発と寄贈を進めています。視覚障がいの有無にかかわらず、多世代で楽しめるのが特徴です。


Soleilで開発した左から「ふれあいどうぶつしょうぎ」「カラー版ふれあいどうぶつしょうぎ」「タッチマップ世界地図」

教材を開発する上で、大切にしていることは何ですか?

田中さん:
私たちの合言葉は「学ぼう!作ろう!届けよう!」です。単に作るだけでなく、盲学校の先生や当事者の方々からのフィードバックを何より大切にしています。例えば子どもたちが部品に触れたときにケガをしないよう、盲学校との連携で大きさや形状、素材の改良を重ねました。現場の「こんな教材があれば」という切実な声に応えることが、私たちの活動の核となっています。


開発も担当する田中 剣之介さん

使う人の「もっと」をカタチに。試行錯誤の末に生まれる「使いやすさ」

現在、クラウドファンディングに挑戦していますね。

小野さん:
2026年2月に奈良で開催される「視覚障害教育実践研究会」に出展するための遠征費を募っています。教材をより使いやすいものにするためには、全国から集まる先生方に直接触れていただき、微細な感触や音声の調整について生の声を聞く機会が不可欠です。物品費や送料には助成金が使えますが、遠方の研究会への参加については、学生の旅費の捻出が大きな負担となっていました。ぜひ、皆様の力をお借りしたいと考えています。


昨年開催された「視覚障害教育実践研究会」の様子

開発しているときに大変なことはどんなことですか?

田中さん:
私たちは目が見える状態で触ってしまうため、初めて触る方の感覚との相違を埋めるのが難しいですね。自分たちでは「これでわかる」と思っても、角が危なかったり、情報の判別が難しかったりすることがあります。そのため、開発の初期段階から盲学校に試作品を送り、フィードバックを得て改善を繰り返します。一つの教材が完成し、全国へ寄贈できるようになるまで2年ほどかかることもあります。

新しいプロジェクトについても教えてください。

田中さん:
従来の教材に加え、握った強さで痛みのレベルを表現する「触覚ボール」などの開発、改良にも取り組んでいます。また、手触りだけでグラフの形や考え方を学べる道具も開発中です。どんな人でも楽しく学べる機会を広げるために、新しいアイデアを次々と形にしたいと思っています。


製品は一つひとつ部員が手づくり

未経験でも「やりたい」気持ちが原動力。あなたも一緒に活動しませんか?

ところで、皆さんがサークルに参加したきっかけは何だったんですか?

小野さん:
もともと「ものづくりを通じて誰かの役に立ちたい」と思っていました。入学式の後の説明会で「Soleil」に興味を持ち、見学で先輩たちが実際のニーズに合わせて教材を作る姿を見て、「自分の力を試してみたい」と感じました。以前は視覚障がいの方の視点を意識したことがありませんでしたが、この活動を通じて、社会にある目に見えない壁や、包摂的な視点の大切さを学ぶことができているんじゃないかと思います。

活動を続けていて、一番うれしかったのはどんなときですか?

田中さん:
教材を届けた後に、子どもたちからのお礼の手紙やメッセージをもらったときですね。活動の最大の原動力になっています。また、数年前に寄贈した教材の修理依頼が来たときも、「長く大切に使っていただけているんだ」と実感できてうれしいですね。


全国から届く感謝の手紙

小野さん:
使っている皆さんに「わかりやすい」「楽しい」と言ってもらえるのは、本当にうれしいです。自分たちの研究や学びが社会につながっているという自信を与えてくれます。

この記事を読んでいる高校生や一般の方へメッセージをお願いします。

小野さん:
ものづくりの経験がなくても、「やってみたい」という気持ちがあれば誰でも歓迎です。

また、クラウドファンディングでも、ぜひ支援をお願いしたいです。私たちの活動を支援していただくことは、単なる寄付ではなく、未来の教育インフラへの投資だと考えています。私たちの活動を知っていただき、誰もが平等に学べる社会を一緒に作っていけたら嬉しいです。皆様の温かい応援を、心よりお待ちしています!

クラウドファンディングページ
(期間:2025年12月1日(月)~2026年1月31日(土) 23:59)

https://www.glocal-cf.com/project/soleil

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