- インタビュー担当
台湾の大手半導体メーカー・台湾積体電路製造(TSMC)関連会社の工場建設が始まり、熊本では半導体産業への期待や関心が高まりつつあります。
そこで今回は、本学理学部を卒業して、熊本に本社がある半導体メーカー「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社」に就職された横田真理さんに、お仕事の中身や女性のキャリアプラン、さらに半導体産業で働く魅力などについてお話を伺いました!
<横田さんのプロフィール紹介>
熊本県八代市出身。2001年、熊本大学理学部物質化学科(当時)を卒業。
現在は、2人の子どもを育てながら、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社
(以下:ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)の長崎テクノロジーセンターで
プロセス開発に携わる組織の統括責任者として働いている。
サークルとアルバイト、実験に明け暮れた大学生活
大学生のときは、どのような生活を送っていましたか?
横田さん:大学では、実験が楽しかったです。自分たち学生が主体となって取り組んでいました。それから、印象に残っているのは、サークルとアルバイトです。サークルは、「フレッシュスポーツ愛好会」という、バレーやバスケといったスポーツを楽しむサークルに入っていました。その時の仲間たちとは、今でも親交があります。アルバイトは、家庭教師をずっとやっていました。街の焼肉屋さんで働いたこともありました。
学生時代の経験が仕事で活きていると感じる場面はありますか?
横田さん:学生時代の研究で身に付けた、粘り強く結果を求める姿勢は、今も活きていると思います。また、サークルで歳が離れた人と交流したり、アルバイトで接客をした経験は、人と接することの多い今の仕事で役立っています。
「好きな化学を仕事にしたい」という思いでソニーセミコンダクタマニュファクチャリングへ
学生時代は、どんなキャリアプランを描かれていましたか?
横田さん:具体的には描けていませんでしたが、高校生の時に好きになった化学に関連する仕事がしたいと思っていました。就活の時は、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングのほかに、製薬会社も受けました。
学部を卒業後、大学院に進学せずに就職の道を選んだのはどうしてですか?
横田さん:大学院で勉強するより、早く社会に出て仕事がしたかったからです。今年、学部卒の新入社員が私の部署に来ましたが、バリバリ働いていますよ(笑) 大学院を卒業しているかということが社内で話題になることはありません。初任給では違いがありますが、それ以外で大学院卒との違いは感じません。また、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングは実力があれば、若くても昇進できます。私は、会社で学ぶことが仕事上役に立っているので、早く就職してよかったと思います。でも、好きなことをとことん研究したい人は、大学院に行くのも良い選択肢だと思います。
会社選びの決め手は?
横田さん:化学を仕事にしたいということと、「ソニー」というネームバリューがあること、地元九州で働きたいという思い、そして、自由な会社というイメージです。面接の時の雰囲気が和気あいあいとしていたことが印象に残り、直感を信じてソニーセミコンダクタマニュファクチャリングを選びました。
エンジニアとしてのお仕事
入社する前と後では、ギャップは何かありましたか?
横田さん:入社前に持っていた、「自由なイメージ」という点ではギャップはありませんでした。社内でも、皆さん気さくに話しています。ソニーグループでは、上司を役職名で呼びません。「○○課長」、ではなく、「○○さん」、と名前で呼び合います。
今までどんなお仕事を経験されてきましたか?
横田さん:プロセスエンジニアとして、半導体の材料である「ウェーハ」の洗浄工程の開発をしていました。ウェーハは少しでもゴミなどがつくと機能しなくなるので、きれいにする必要があります。その後は統括係長を経て、現在は統括課長を務めています。
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積層型CMOSイメージセンサー
写真提供:ソニーセミコンダクタソリューションズ(株) |
統括課長として、現在はどんなお仕事をされていますか。
横田さん:組織のマネジメントや部下の作った資料のチェック、組織としての方向性を考える業務などを行っています。
仕事をする上で大事にしているモットーはありますか?
横田さん:「楽しく仕事をしよう」です。私の部署は忙しく、開発状況により、一時的に残業が増えてしまうことも多いです。そのため、心と体の健康に気を付けるようにと、部下には伝えています。また、メンバーのモチベーションの向上のため、自分がやりたい仕事を提案して欲しいとも伝えています。
半導体産業について、魅力に感じることはありますか。
横田さん:半導体は、身の回りのほとんどの電子機器に搭載されています。例えばスマートフォンのカメラできれいな写真が撮れるのは、「イメージセンサー」という半導体のおかげです。自分の仕事が、身近なところで役立っているという自負があります。
充実の支援制度の下、育児とエンジニアを両立
子育てと仕事の両立を支える会社の制度は?
横田さん:出産2か月前から子どもが1歳になるまで、女性は産休・育休を取ることができます。また、育児休暇の拡充により、男性の育休取得も年々増えてきています。休暇後は、ほとんどの人が退職せずに復帰しています。私の場合、今は、フレックス勤務や在宅勤務を活用しながら、仕事と家事・育児を両立しています。
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングでは、テクノロジーセンターの代表者と育児や介護について気軽に話せる機会があります。育児や家事代行の費用を会社で補助できないかという私の提案が、実際に制度化されました。
仕事で男女の差を感じることはありますか。
横田さん:仕事を進める上で、男女の差は全く感じません。給与や昇進の機会なども男女関係なく平等です。
これからのキャリアでの目標はありますか。
横田さん:育児とキャリアを両立する働き方については、私自身、手探りで進んできましたが、上司や同僚など周囲の人たちには随分と助けられました。今後、私が育児をしながら仕事もするということを続けて、今の社員にとってのロールモデルになりたいです。
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写真提供:ソニーセミコンダクタソリューションズ(株) |
学生へのメッセージ
今の学生に、学生時代にやってほしいと思うことはありますか?
横田さん:やはり英語だと思います。仕事では英語でやり取りすることも多いです。海外企業と行き来する社員もいるのですが、その時の会話も英語です。
半導体産業に関心がある学生にひとことお願いします。
横田さん:半導体は様々な場面で活用されており、これからますます伸びる産業です。入社当時、私は半導体について知らないことが多かったのですが、深く知れば知るほど研究者として面白く感じる場面が多くあります。興味があればこの業界について調べてもらって、ぜひ半導体業界に来ていただければ、と思っています。